研究紹介

Perf-labでは、計算機アーキテクチャを基礎としてプログラミング、コード変換、高性能計算、数理最適化、脳科学、人工知能、ハードウェア設計、ソフトウェア性能工学といった関連分野の英知を結集し、スマートフォンからスーパーコンピュータ、ドメイン特化型カスタム計算機に至るまで、ありとあらゆるコンピュータにおけるコンピューティングを対象に未来のコンピュータの形を模索するべく研究開発を行っています。

 

 

“Programming CPUs, systems and everything in technology, science and art.”

CPUから技術、科学、芸術までもプログラミング

Perf-labでは、コンピュータアーキテクチャの神髄であるソフトウェアとハードウェアの界面(インターフェース)を探求していきます。そのために、CPUをマシン語(アセンブリ言語)、C言語、Python、ドメイン特化型言語など様々な抽象度の言語を用いてプログラミングしていきます。プログラミングの対象も、CPUだけではなく、単体コンピュータ、更には、大型コンピュータ、スパコン、IoT機器、エッジデバイスなど情報技術を活用するもの全てに及んできます。

コンピュータの使える技術を学び、最終的には科学として昇華させる。最初の一歩は、楽しそうだから試してみよう・作ってみようからプログラミングがスタートします。作ってみたいアイディアが実現でき、あるフィールドの実践知となれば、その美しさに共感しあえる仲間ができます。このとき、プログラミングはアートの領域に到達しているかもしれません。その少し先に、きっと、まだ見ぬコンピューティング技術、コンピュータ科学が存在していると思います。Perf-labでは、様々な角度から、プログラミング、そして、コンピューティングの技術・科学・アートを探求し、実践していく研究を目指しております。
 
 

“データフロー主導によるカスタム計算機システム開発基盤の体系化”

Society 5.0 社会の実現に向けて、特定の応用ドメインに特化したカスタム計算機システムにより高い性能効率を達成することは極めて重要です。カスタム化とは、計算機を万能ではなく特定処理にフォーカスすることにより、極限まで無駄を省き処理を高速化していくことです。一方で、カスタム化を行っているためには、システムの開発における生産性や開発コストの面で課題があり、小規模な開発チームでも短期間で作れるような設計手法の体系化が必要です。そこで、本研究ではデータフロー計算原理に基づきFPGAアクセラレータとドメイン特化型言語を統合的に取り扱うシステム開発基盤を提案し、生産性と高い性能電力比の両立を目指します。この過程で、アルゴリズム/スケジュール分離型の関数型言語の利用による生産性の向上、コンピュータのシステム性能についての定量的理解、分析、推定やプロファイリング技術の更なる高度化を行い、結果として得られる性能モデルをPolyhedra最適化や自動チューニング技術と組み合わせてハード・ソフトの双方の設計及びチューニングにフィードバックすることにより性能に関する諸問題を解決することを目指します。さらに、実世界に技術を展開していくことを通して、アプリケーション、原理、実装が表裏一体となるカスタムコンピューティングのエコシステムの構築を目指します。

リンク: JSTの研究紹介のページ

 
 

“深層学習と経験的手法の協調によるメモリアクセス最適化プログラムの自動合成”

近年の深層学習技術の進展は目覚ましい反面、これらの成果を社会に幅広く展開するためには性能・電力・コストの面で最適化された深層学習処理向けのシステムアーキテクチャを探求していくことが求められております。このような状況の下、ハード・ソフトにまたがる広大なアーキテクチャ設計空間(コンピュータ設計空間)に対して深層学習を活用し、よりよい実行コードを自動合成するために階層的にコードの翻訳を重ねていくという高位最適化コンパイラの最適化器を自動合成することを試みます。実環境での観測に基づく大量の教師学習データに駆動される形で対応可能となる最適化器の自動合成法を研究開発することにより、深層学習向けシステムアーキテクチャ技術の本質を追求していくことを目指していきます。
リンク: 科研費のページ
 
 

“宇宙機に搭載し宇宙空間での自律動作の頭脳となる超高速・低電力コンピュータ”

超小型人工衛星の普及や民間企業の製造した宇宙船での有人飛行に成功するなど、近年、宇宙に関する技術が急速に進化しています。さらに高度な宇宙空間での宇宙船や宇宙機の運用のためには、高い次元の宇宙機の自律化が求められています。そのため、自律化の基盤となる人工知能技術に基づく処理をリアルタイムかつ高信頼に計算し、宇宙空間で利用可能な厳しい電力の制約を満たすコンピュータ技術が求められています。本研究室では、宇宙機の自律化に必要なアルゴリズムのリアルタイム処理が20ワット以下の消費電力で実現できるような専用コンピュータをFPGAにより実装することを目指し、JAXAや東京大学と共同で研究を進めています。
 
 

“高エネルギ効率だがエラー発生確率が高い次世代不揮発性メモリの活用を目指した誤差に耐性のあるコンピュータに関する研究”

ICT機器の消費電力は年々増加傾向にあり、最悪のシナリオでは2030年に全地球で発電される電力の3割を占めるとの予測もされている。そのため、コンピュータの消費電力を可能な限り削減していく技術の開発は最重要な課題である。データセンタにおけるコンピュータの消費電力の3割程度がメモリアクセスに由来するものであることが知られており、低消費電力な新奇メモリデバイスの開発することに加え、不揮発性メモリの利用や処理の局所性を活用したCPUとメモリ間のデータ移動の削減によるシステムレベルでの設計を効率化することによる省電力化が急務となっている。このような背景の下、デバイス、OS、アーキテクチャの研究者が連携し、VC-MRAMを高エネルギ効率だがエラー発生確率が高い次世代不揮発性メモリとして着目し、高効率でメモリのエラー許容性のあるコンピュータシステムについて産業技術総合研究所と共同で研究を進めています。
 
 

“脳神経の構造・動作原理を模倣するコンピュータ、ニューロモーフィック計算の高速化と応用”

人間の脳は少ない学習量でも将来の予測や即時の判断が可能であるという最先端の機械学習・人工知能技術でも太刀打ちできない高度な情報処理がなされる一方で、消費電力が20ワットで体積は1リットル程度と最新のAI向けコンピュータと桁違いの情報処理効率を持つことが知られている。そこで、脳の向上や機能に学んだ超高効率なコンピュータを目指し、ニューロモーフィック計算(脳型計算)の処理に特化した専用のハードウェアデザインとそのFPGAへの実装やスーパーコンピュータ富岳との協調動作に関する研究を理化学研究所計算科学研究センターと共同で進めていります。
 
 

希望する産学共同研究等のテーマ

以下のようなテーマや上記の当研究室の研究に関連する内容について、企業からの技術相談を受け付けております。産学共同研究についてもご検討の際にはご相談ください。詳しい情報は、研究シーズのリンクから参照できます。

“コンピュータのソフトウェア実行性能を先進的なコード変換技術により劇的に改善します ~メモリデータフローの最適化を中心としたプログラム高速化技術の研究~”

“システム性能の最適化を支援するツールです
       ~システムレベルでの性能品質の科学的モデリングの研究~”